とはなんだろうか 脳の来歴、知覚の錯誤 下条信輔 1999年2月20日第一刷 2011年4月8日第19刷発行

偉い知人が勧めてたのでなにも調べずにポチッたけど、実はちょい古いみたいで残念。まあ19刷まで出てるからある程度信頼できるはずだし、参考文献とかちゃんと書いてるし、この本をはじめとしてやっていきまっしょい。

はじめに-脳と心の全体像

脳の科学的理解は、結局私たちに何をもたらしたのか。この本は脳と心の問題を整理し直し、この問いになるべく分かりやすく答えようとする試みです。とのこと。
そして脳/認知科学の最前線を参照しつつ、その結果分かったことが人間観、倫理観、意識/無意識などとどのように関係していると考えられているかなど紹介する。
それを実現する戦略として2つ。
1つは筆者の得意とする錯誤(錯視などで有名なあれ)を使う。誤りを見すえることで、その逆の正しい(なにが正しいかはおいといて)ことを見つけ出す、さらに正しさとはなにか、錯誤って何が誤なの?ってとこも語る。
もう一つは「脳は、そして心は、孤立しているか」という問いかけの設定。錯誤を通して脳と世界の関係、種の過去へと思いを巡らす。なんだか、オカルトじみてきたが大丈夫か?はじめにでかなり熱い思いを語っていてちょとうれしい。書きたさが伝わるね。

微妙に作者の文章が読みづらい。すっごく入門書として書いているのだから、もっと平易に書ける気がしないでもないんですが。なんだか、心理学とかそういう人の本ってどうしても分かりづらくなってる気がして、それって昔の、偉い学者の翻訳本を読んで難しさになれて、そういう書き方が心のどこかに染み付いているんじゃないかと思ってみた。まあ自分が専門用語出るたびに嫌気がさしてるってのが一番大きいですが。

おわりに

こういう別にネタばれが無いような、勉強するための本については、「はじめに」「おわりに」「解説」を先に読んだ方が、話の道筋が分かりやすかったり、どういう本でどういう読み方をするのが合っているかが分かりやすくなるので先に読んでおくことにしてます。が、別の人が解説を書いている場合は、その人の理解に引きずられないように注意する必要があります。解説書いている人が理解しているとは限りません。いまこう書いている自分にも当てはまるので要注意。相対性理論はほとんどの学者が理解できなかった。
1990年から1997年の東大教養学部の講義「心理学」「認知行動科学」の講義録をもとに、新書に合った形式にまとめたものであるらしい。うーん。さらに古めに。あとは筆者のこの本が筆者にとってどういう本になったかの感想。自分の考えをまとめるのに役立ったんだってさ。

第1章 錯誤とはなにか

第2章 脳の「来歴」ーー錯誤から浮き彫りにされるもの

第3章 心と体と他者ーー連動する脳と世界

第4章 意識と無意識のありかーー心の全体像

第5章 人間観と倫理