この世界の片隅に(下)

鬱展開に恐怖して下巻を買うのを延ばし延ばしにしてたけど、予想していた最強鬱エンドを回避できたのでちょっと安心。けど、やっぱりちょっと涙ぐむ。一般市民の戦中体験。ほんわかムードで進行させているけど、どの程度本当なのかは分からない。後から歴史を振り返ると味付けが変わるのはよくある話だし、作者は体験している訳じゃないし。けど、ほんとよい作品だ。たまにすずさんはすげえ表情をする。
「うちはその記憶の器としてこの世界に在り続けるしかないんですよね」とすずさんは言っているが、この台詞、自分もこの年になってきてやっとこさ分かってきたなぁと感じた。よくある台詞ではある。よくある台詞で今までもよく漫画やら小説やらで「あいつは俺の心に〜」とか言う感じでよくある台詞ではある。が、見せ方というか、聞かせ方というか、被災した一般人が言う言葉の重みとか、死んだ友人の記憶やらとが相まって、やっとこの漫画のこの台詞でこの意味が身に染みたっていうか。染みたというか再確認というか。そうそうそういう風に受け止めて行くしかないっていうか。一般人が生きた記憶は儚いもんだ。

しかし、延ばし延ばしにしたせいで3/11以降にこれを読むはめになることのなんか運命的なタイミングやらを考えずにはいられない。原爆はやべえんだよなぁ。