イタリアの問答

イタリアで水不足が深刻だった。僕は水問題研究者兼技術者である師匠についてイタリアに来ており、イタリアの奥地の村で水不足問題について調査しつつ村に水を取り戻す手伝いをしていた。

結局なんか大雨が降り、村に水が戻った。村長の家のプールにも水がなみなみとあふれかえった。

師匠は水に潜りまだやることがありそうだった。僕は何をしようかなと考えていると村長が「おまえにはいままでとは違う新しいことをやってもらおうと思っている。となりの村まで行ってあるものを借りてこい。馬か歩きで行け。そう遠くはない。」と言ってきた。逆らうこともないので従ってみた。

隣町に出発する際に村長が村の若者をお供として付けてくれた。詳しい道などを教わっていなかったため一安心する。「How long?」「3メーター」「え?」「あそこだよ」と若者が指差す先には崖のふちにそって通路っぽいものがあった。元の村から100メートルも離れていなかった。滞在中に気がつかない方も悪かったのかもしれないが、こんなに近いならばもっと説明してくれてもいいじゃんと思った。若者とは自然と日本語で喋っていた。

村の入り口で若者が聞いてくる「ラクのにおいですが大丈夫ですか?」ラクを知らなかったが、なにか動物っぽいにおいがする。まあこの村で飼ってる家畜だろう察し、とくにきつい臭いでもないので、なにも言わずにうなずいた。
崖のふちをくりぬいて作ったような通路を進んで行く。右手側は地面も見えないような崖。一応柵がありこんなに未開っぽいところでもそれなりに安全対策はするんだなと思う。左手側には定期的に人が通れるような穴があり布がかかっている。村民の家というところだろう。足下ではミニ四駆のコースを1レーンだけ引いたようなものがところどころにあった。なにかなと思っていると、あるところのそれに赤子が置かれている。「この村では保育器というかゆりかごというかそんなんがあれなのか。全然気持ち良さそうじゃないな」と思った。赤子はS字カーブしたレーンのなかでも気持ち良さそうに寝ていた。

ちょっと豪華な感じの装飾や布がある入り口に入る。なにか有力者的な家と言った雰囲気を感じる。暗い穴を進んで行くと奥に広い空間があり、そこは礼拝堂みたいな感じになっていた。祭壇には髪と髭の長い、あきらかに老師だろという風貌の老人が横になって肘をついて寝ていた。と思ったら起きて姿勢を正した。と思ったらまたすぐにずるずると姿勢を乱し寝に入る。なんだろうこれが悟りってやつなのか?と思った
祭壇上の人の代わりに、村長らしき人が質問をしてきた。「jはいうbかf」なにを言っているのか分からない。いっしょに来た若者が笑っている。「スペイン語ですよ」と言いながら僕の持っている地球の歩き方を取り出し「ほらここに書いてあるでしょう?あなた線を引いているじゃないですか。」と指摘する。僕はあくまで従者のつもりだったので、その地球の歩き方も師匠のもので、僕はスペイン語を勉強していないし、線も引いていない。そんなことを説明している場合じゃないので、地球の歩き方と首っ引きで質問を聞いてみるがぜんぜん分からない。少し気まずい空気が流れた後、村長(といういことに決定)が再度聞いてきた「what do you think about welfare?」英語できるんじゃんとか思ったけど、一応これならば分かったので答えた。「welfare is happy.」村長らが笑ったのですかさず「happy is ...」と間髪いれずに続けた。場のみんながうまいな、とか、やりおるわいとか言う。happy is としたはいいが、次が出てこず、村長に時間切れにされそうになった。焦りながら『破壊がない世界?でも破壊がないと停滞だし、やっぱ死と再生か。death?dead?なんか変な意味になりそうだなー。あー。なんかいい言葉なかったっけ』と考えた結果「happy is Reincarnation」と言った。村長も「ふむ」みたいな顔つきだし、村長の付き人の女性も「一応勉強はしてきてるようね」みたいなことを言っていた。


深い。。。のか?