僕!十!(くらいの時の話)

電車を降りるとそこは書道の世界。和の心を取り戻すべく私は墨の香りを存分に吸い込んだのだった。広がる記憶。昔、僕は書道教室に通わされていて書道をたしなんでいたのだっけ・・・そして、学校では習ってもいないやつが金賞とかを取っていて、僕は自分の才能のなさに愕然としたのだったっけ・・・友達が言う「お前のほうがうまいよ。なんかあういう元気いい子供らしいやつのほうが評価されるんだろ」という内容を小学生が言うはずはなく、もちろんこれより数段低い言語レベルで慰めてくれたりしたのだけど、やっぱりショックはショックで、それからというもの表には出さず自分でも感じてない振りをしていてもやる気が出ていなかったような気がする。やめたし。ぜんぜんうまくない。小学生のとき習っててうまいものなんて1つもない。だめだね。
と、負の記憶を引き出させる匂いがした。電車降りたホームの前の人から。荷物持ってないのに墨汁のにおい。謎は深まるばかりだ。(この終わり方は何にでも使えそうだ)