狂人

脈絡のないことを唐突に言うというギャグのスタイルがある。(「ギャグ」とかいうとすごい恥ずかしい)勢いだけで「コスメティック!!」とか「ハンムラビ法典!!」とか「おまんちん!!」とか、最後のはちょっと下ネタだけどまあそんな感じで意味はまったくないけど面白いかもってやつ。あまり芸人的な笑いの取り方ではないから、TVみたいなそうとう年代の広いところではあまり見かけず(「聞く」か?)、漫画などで見かけることが多い。(そして分かる人だけ分かるみたいな変な区分けが始まる)
で、これはまあ面白いんだけど、よく考えてみるとただの狂人。精神がイっちゃってる人の発言に他ならないってことだ。まったく脈絡もなく叫んだりするとか、意味の分からないことを話す途中に入れてくるとか、とにかくこっちの理解のできない行動をとる人はただの狂人だ。電車とかでたまに見かけるあの感じ。どっかのギャグ漫画家が思ったんだろう。「あれのおもしろさをどうにかして使いたい」とか。漫画で書けば見てるこっちも安全、やってる人たちも架空の人だし元々変なキャラにやらせることが多いから、なんか批判とかもかわせる。ギャグならたいてい許されるし。
ってことで、変なことを言うのがおもしろいっていうなら狂人が世界一面白くて、しかも北朝鮮のごとく没交渉だからオリジナリティ100%ってことになってしまう。世界でオンリーワンでナンバーワンの面白人間が実は狂人だったっていうのはお笑いをやっている人としては(やってないけど)なんとも嫌な話になってくる。なぜなら、どれだけ正気を保ちつつ狂人の精神に近づくかってことが第一の課題になるからだ。これが公に許されたのがお笑い芸人。「狂人の真似をして大路を〜」ってのはもちろん本当で、そればっかやってると社会からはどうしても追放される。それを見逃しつつやっぱそのまま面白いことしててよってみんなが思って作った組織がお笑いとか芸能人とかそういった類かな。
だから、この年になったらあんまりそういうことをする人がいなくなってくるのはしょうがないことだと思う。みんな普通の話をする。それが大人、社会に通用する立派な大人だから。そしてお酒を飲んだときだけ開放されるみたいなそんな話。常にネタばっかり言ってる人はそのうち排除されてしまうのだろう。排除されてしまうのかな?