当り屋

 



プチッ



交通事故はいつの時代もかなしい。どちらも望んでやいないし(だから事故なんだけど)どちらも予期していない(だから〜以下略)。残されたものにはやりきれない悲しみだけが残り、やるせない。罪を憎んで人を憎まずとは言うものの、だれにもできないことだとみんなわかっている。そんなおためごかしを言わなくてはやってられないのだろう。どこにも犯人がいないのだから。(除く飲酒運転)
僕は交通事故にあいました。もっとも、僕のほうが加害者です。相手はなんと死んでしまいました。なので加害者で罪の意識もすごいある。悔やんでいる。なのに僕は被害者の気持ちなのです。こんなことがあっていいのでしょうか。僕は加害者でありながら、被害者のトラウマまでも抱え込まなくてはいけないのです。なぜ僕が?なぜ僕だけが?自分は特別だと思い続け、大人になってそうでないと気がつく普通の人でよかったのに・・・こんなところで特別にならなくてもよかったのに・・・。いつだって歌われるのはなんでもない日常の幸せなのに・・・


おそるおそる足をあげる。
すこし、見える、液体。ああ、かくじつ、だ。
僕の足の下でゴキブリがぺしゃんこに。