ねんど室

夏休み。学校で勉強をするのだけど、図書館には行かずにねんど室というところに行く。部室を持っている部活に入っているのだけど、夏休みは部室が使えないので、なんかそれらしい理由をつけてねんど室を借りて涼しく(クーラーが付いていた)静かに勉強をするのだ。ねんど室は粘土に関係のあるなんらかの理由があれば借りれるけど、そこまで適当な管理はしてないので、管理をしている先生との信頼関係なんかが重要になってくる。僕は管理をしているK先生とまあまあツーカーな関係だったので、ある程度粘土なんて関係ないことはバレつつも、ねんど室の鍵を貸してくれていた。
しかし、あるときに友達にねんど室の情報を漏らしてしまったのである。その友達は別に不良でもないのだけど、真面目でもなく、先生のウケもそこまでよくない、まあ先生目線で言うとモブキャラ的な立ち位置のやつだった。そいつに教えたところ、居心地の良さに味をしめ、ねんど室を多用するようになってしまった。僕は程度をわきまえて使っていたし、先生との関係も良好だったので、なあなあのお目こぼしをしてくれていたわけだけど、そいつはモブキャラ一直線。先生は何回も何回もねんど室を使うそいつを見かねてねんど室の鍵を封印してしまった。
僕は「友達でも絶対に守りたい秘密は秘密にする必要があるんだな」と炎天下の校門から続く並木道に立ちつくし今回のことを後悔をしていた。蝉の声がうるさかった。


ねんど室ってなに?