問答

どうやら同窓会らしきものを開いているらしい.そこにあれもいた.同窓会は学校で行われていて,ジュースとお菓子の健全な感じのバージョン.昔使っていた小さい机が班分けにされていて,席も振り分けられていた.もちろんボクはあれといっしょだった.同窓会のはずがいつのまにやら授業ぽいことがはじまったりして,そして1ヶ月たった.結局同じ班と言ってもぜんぜん喋らない.「まあまだ一ヶ月だ.まだまだチャンスはあるさ」という心の声と,「一ヶ月経ってるのに喋ってすらいねえ!なにやってんだ俺!せっかくのクソチャンスじゃん!」という心の声がせめぎあう.よくあるパターンだと思った.
ある日,学校から帰れなくなった.急激に天気が悪くなり,学校側から下校見合わせの放送がながれたのだ.みんなぶつくさいいながら窓の外を眺めたりしてる.こういうときはチャンスと思い,行動を起こそうとあれのほうをみる.すると,会社の同僚(男)とあれがどっかに行きそう.いままで気がつかなかったが,会社の同僚はボクと同じ班にいたらしい.するとあれとも同じ班というわけなので,いつのまにか親交を深めていたのかもしれない.
「どこいくの?」
あれに聞いてみた.
こちらを振り向く.
「・・・・・・」
沈黙が数秒.真っ直ぐにボクを見据える.なにを考えているのか分からない.
ようやく口を開く.
「どこでもいいじゃない.」
同じ班のたわいもない質問にそれはないと思った.
続けて言う.
「どこへ行ってほしいと思った?」
無表情のまま,ボクに言う.
何もボクは言えなかった.