しこふんじゃた

僕は二子山親方の弟子らしい。稽古をしている。ひと段落すると、稽古の合間にみんなで集まってタバコを吸う。が、僕だけ線香。束のままの線香に火をつけスパスパ吸う。「まだまだ僕じゃ一束が限界すね」僕が言った。すると、兄弟子と思しき人が「昔、現役のころの親方は3束くらい楽々いってたかたな。おまえもゆくゆくはそうなってくれよ。」と言い笑った。「いやーそれはすごいですね」ほんとにすごい。一束吸っただけでもめちゃくちゃにいがらっぽい。だいたい銜えているだけで線香なんだからいい加減湿ってくるのだ。色が変わるくらいに。全然気分が良くない。こんなのを三本も・・・と思いながら、さらに2束めにチャレンジしてみる。が、なかなか火がつかない。線香なんて束で火をつければすごい燃えるはずなのに、と思ったらものすごい勢いで燃え盛った。一瞬、ぶわっと火が広がり身をかわすも火はそのまま空中にとどまって燃えている。普通の火の色ではなくどこか怪しい薄青緑を基調とした色で、少しづつそのいろを変えながら灰皿の30cmくらい上で燃え続けている。
「かげろ・・・いや、すめら火だー!!」
誰かが叫び、みんないっせいに逃げる。すめら火という妖怪らしく、みんなのあわてぶりからするとけっこう危険なものらしい。(最初陽炎といいかけたのはなんでかわからない)が、僕は出した張本人。責任をとらなくてはいけない。というか、はっきりいって腰がぬけてしまい、立つことができなくあわわあわわしていた。だんだんとこっちに近づいてくるすめら火。これに触られたらどうなるんだろう、燃えちゃうのかな・・・と恐怖におののいていると

ドシーン

後ろで四股の音。
「親方ッ!!」
親方だ。四股を踏み残ったの姿勢になり、すめら火と向かいあい動かない。やっぱり弟子を見守ってくれているんだ、やっぱり親方はすげえやと感動した。



寝るところまでにニュースの音が聞こえてしまうとこういうことが起きる。そのまんまですぎてびっくり。あと、すめら火って妖怪はいなかった。ググっても出てこない。クリエイティブだー。