家中に虫が湧いた。「やっぱ夏はだめだなー。冬はよかった。」とか思ってたけど、そんなレベルじゃない。洗面所のまわりにはボウフラと思しき虫がぐにょぐにょしてるし、そこらじゅう蚊だらけ。部屋のすみはだいたい虫が群がっていて黒い。床も一面に黒い点々が動き回っていてめまいがする。よくわからないが友達が来て釣りをしだした。洗面所で。そこらでうねうねしてる芋虫をさも釣師のごとく針につけ、糸を垂らす。もちろん洗面所のあの排水溝の穴。なにやってんだ。けど、ものすごい引きが来た。3人がかりで釣り上げる。ジャパーン。なぜかスローモーションになる。飛び散る水しぶきが美しい。びちびちと元気に跳ね回ってる約20〜30cmの筋肉質な魚を見、3人の中の俺でなく釣師でもなく釣り上げるのを手伝ったやつが「すげぇよ!これ!なかなかいないやつだよ!日本じゃまずおめにかかれねぇぜ!」と言い出す。魚マニアらしい。図鑑を見るとカタカナ四文字くらいの魚だった。たしかに原産国は日本ではないし、さらにその国でさえ数が少ないと書いてある。けど洗面所になんで。台所では寄生虫がはみ出たイカを母が料理していた。とてもきもちがわるかったが、なぜかしぶしぶ食べることに納得していた。