standing reading

立ち読みにも作法というものがある。プロならもう言わずとも分かっていると思うので、静かにこのページを閉じてもらってもかまわない。プロでないと思うものは、そのまま読み進めるといい。
まず、人気雑誌の発売日などに、その雑誌を立ち読みせんと手に取りし者は、すみやかにその場から少しはなれるべし。おまえだけが読みたいのではない。みんな読みたいのだ。買いたい人もいるし、お前の友であるところの、立ち読みファミリーもいるのだから、すみやかに場所を空けるのが吉である。殊に、その雑誌のある場所から避けて、エロい本がある地帯に立ち入るのが本場のプロ。一番の安全地帯であるので活用すべし。
次に、笑いはこらえるべし。みんな笑いたいのである。横でなにかを震えている人がいると、非常に気持ちが悪いことは誰にでも分かるはずである。昨今、おとなしそうな人が、急にショットガンにレーザーサイトをつけてぶっ放したりするので、周囲の目は敏感である。漫画を読んで笑うくらいなんだと思われるかもしれないが、あなたはの読んでいる漫画はラブひな・・・はもう終わった、ハヤテのごとくではあるまいか?ご愁傷様なのである。これは、立ち読み全般に言えることだが、とにかく「自分だけではない」ということを肝に銘じるべきである。いわば団体競技。毎日、チームプレーをびしびし感じ、磨くことのできるチャンスがあるというのは、稀有なことである。活用すべきである。
最後に、これはプロにしか分からなく、さらに元コンビニ店員じゃないから出来ることなのかも知れないが、読み終わったら元の位置に戻さないことが肝要である。最初に述べたような目的の雑誌の入手を阻む愚か者たちがいる場合、この行為は歓迎されるのである。すこし表紙あたりがよれよれになっているのもご愛嬌。決して汚いと思わず、同じ雑誌を愛している者がいるという喜び、そしてそれを次にうまいこと回してくれる気遣いに感謝して、すみやかに入手するべきである。
以上の3点に気をつけることにより、あなたの立ち読みライフが、そして、あなたの横でペンギンクラブを読んでいる人の立ち読みライフが、充実したものになることは間違いないのである。ピザッツでもいい。快楽天でも。