鍋物先生
「「いやー鍋のおいしい季節になりましたね」とかいうけどあれは嘘っぱちだ!!だまされちゃいけない。鍋の美味しさはいつだって変わらなく、夏だってどこだって鍋はそのうまさを誇っているはず。それをおまえらは・・・このやろう!勝手に冬に鍋みんな食べるからって、夏は鍋食えないみたいな感じにしやがって!!こんだけ熱かったってなぁ、あつあつの鍋を目の前にしたら誰だって箸が止まらなくなるんだよ。水炊き、おでん、味噌煮込み。キムチ鍋に、豆乳鍋。どれもみんな季節を問わず魅力的だろ?むしろ夏こそ鍋、鍋こそ夏なんだよ!!」
ワー ワー
「お疲れ様でした。町の人々が鍋を用意して待っていますよ。もちろん熱々で」
「!!・・・そうか、いかねばなるまい・・・」
「どうしたのです?まさか食べたくないとでも?」
「いや・・・ね。これなんだよ・・・」
「!!・・・これは、こ、口内炎!!しかも2つの口内炎がくっ付いて巨大化したタイプ!!口内炎を気にするあまり、物の噛みかたがおかしくなって、さらに口内炎の近辺を噛んでしまったに違いない、あの最悪の状況!!これは・・・一大事だ!!町の人に事情を説明してきます!!」
「いや、いいんだ・・・」
「なぜです?分かってくれると思います!!危険すぎます!!」
「僕にとっては数ある講演のうちのたった一箇所だよ。けれど、ここの人たちにとってはたった一箇所なんだ。この暑い中、熱い鍋を食べる僕を見た人はやっと心から思うんだ「この人の言っていることは本当なんだ。鍋はいいものだ」ってね。それを僕の不注意から出た口内炎なんかでやめるわけにはいかない。」
「先生・・・」
「じゃあ・・・行くよ・・・」
「・・・(ああ・・よりによってキムチ鍋だなんて・・・鍋の神は残酷だ・・・)」
部屋が熱い。水冷PCを切に望む。