チャリ子の旅

お台場までチャリで行った。
いくつか埋立地を橋でわたってたどり着くので、ちょっと考え方を変えればRPGみたいだと思えて面白い。ドラクエ1は橋を渡るごとに敵が強くなります。
現実には敵というか人が少なくなりました。埋立地は工場ばかり&開発・再開発の嵐なので全然人がいません。道もそのせいと、土地が余っているからか広々。走りやすくてテンションダダ上がり。叫びやすくもあるので好都合。
ただお台場についてしまうと、それももう夢の島。いや夢の跡。人がうじゃうじゃ、ガキうじゃうじゃ、カップルいちゃいちゃ。ひき殺したいです。(特に後半)みんなだまされてるのにね。チャリでえっちらおっちらやってくると、ここがどんなに僻地で、どんだけ適当なテーマパークなのかが分かってしまうのです。
はっきり言って・・・はっきり言えるわけはないか。よくわからない。レインボーブリッジが出来てそんで土地が余ってるところになんか作ったれ。橋渡るときに金とりゃもうかんべさ、ってな具合か。勝手にやってれ。おもしろくもない。あんなとこ誰も行かなきゃ、ほんとどうしようもない土地ですよ。お台場ボイコット連盟を設立、運営しようと考えた。


そこの君どこに行くの?え、お台場?そうなの?
お台場なんて楽しくないよ?友達と遊んでたほうが絶対楽しいよ。みんなでエキサイトステージ、じゃなかった、ウイニングイレブンでもやってなよ。おすすめだよ。たぶんあれはすごいシリーズになるから、いまのうちにうまくなっとけば、えばれるよ?え?友達とお台場に行くって?ああ…うん。行ってらっしゃい。楽しいかもしれないね…
委員長!行かせていいんですか?
だって僕も楽しかったから…いや、なに、お台場が楽しかったわけじゃないんだよ…友達となにかをするっていうのを邪魔したくなかったんだ…かれらの友情の土台を、いやここはあえてお台場といい直そうかな、うん、友情のお台場を作る作業を邪魔したくなかったんだ…連盟は解散だよ…


失敗するようだ。

帰りにレインボーブリッジを渡ろうと思ってたら、みごとにあいつ乗車拒否。ぜんぜんレインボーでなかった。あいつは僕を港区へ運ぶ七色の橋になることは決してないらしい。大層な名前つけやがってよー。このせいで帰り道も、行きと同じ距離を稼ぐことに。およそ22km。死ねる。帰りたくない。
目的地に着いたらそこで終わりでないのは苦しい。行ったら帰らなくてはいけないし、帰らないならさらに進まなくてはいけない。とまってはいけないし、なにより、とまれもしないはずだ。それがなんにしても人生ってやつですか。そうですか。きびしいものですね…
無常感を感じている帰り道。手のひらの皮が赤くなって、肉から浮きそうになってる。豆だろ?泣き言ばっかり言ってんなよ。違う。豆どころの騒ぎではない。ありえない長時間チャリに乗っているとこんなことも起きるのだ。右手で見ると「て」に見える(だからひらがなで「て」って書くんだよって嘘言うと信じる人がいますよ)、手相における頭脳線と生命線の終わりかけ。そこらへんの皮全体がべれんべれんになってしまうかもしれないのだ。
浮き足立つな!
自分と自分の皮にそう言い聞かせ落ち着きをとりもどす。なるべく手のひらでハンドルを取らず、指先でかわいく、いや、かわいくはないか。崖に捕まって、もう…落ちる!って感じのグリップ、クリフハンガーでハンドルを握ることにした。おかげでなんとか僕の皮は無事だ。僕の皮は無事だ。どこもかしこも。

実に往復でフルマラソンをゆうに超える距離を駆けたことになった。なかなかのものだ。これだけのことをしたら、なにかいいことがあるのが当然。もてる時がやっと来たということなのだろう。行って良かったお台場。まさかもてるとはね。